転がって、デカくなる。【遊戯王】

難波付近遊戯王研究会Nuclear!に所属するusamiが、遊戯王のデッキ等について書いていくブログになります。なる予定。

【遊戯王コラム】完璧にしない選択肢

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どうも、usamiRollingです。

最近マスターデュエルにかまけていましたが、OCGのデッキを1個作りました~~ランクマッチばっかり回していると、うらら増Gほうようニビル指名者指名者……と普段言いなれないカードの連続でてんやわんやしてしまいますね笑

ランクマッチを回すうえで、デッキの構築はとても大切だと思います。できるだけ多くの敵に完璧に立ち回れるようにしたいですよね。今回はそんな感じ(?)のお話です。

 

 

 オセロで遊んでいて、一番楽しくない状況とはどんな時か。それは最後に逆転されて捲られる時ではなく、置く場所が無くて何度もパスをさせられる時だ。
 気づいた頃にはもう遅く、ゲームの勝敗が決定するレベルになるまでただ呆然とパスを宣言し続けるしかない。そんな経験は無いだろうか? 俺はある。やめて〜と思う。

 対戦ゲームおいて、ルール上認められる行動は無理に制限されるべきではない。
 が、対戦相手と時間を共有して遊ぶ、コミュニケーションを取る上では一考の余地があると思う。

 

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 はるか昔、ポケモンバトルレボリューションからなるポケモン対戦第四世代においては、ルールでは認められつつも「重複催眠禁止」が当たり前だった。
 このマイナールールがまかり通って、最早メジャー化していた理由は、ポケモントレーナー達が「重複催眠への解答が限定的すぎて対応が困難である」という共通認識を持っており、お互いに「重複催眠禁止」でプレイした方が広い戦術を楽しめると判断したからであろう。

 ここで理解しておきたいことは、どんなものを通じてでも「プレイが制限されて何も出来なくなる状況は、相手は何一つ楽しくない」ということだ。

 

 遊戯王の話をしよう。

 デュエルをしている時に場に出すカードは、少なからず相手の行動を制限する。

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 例えば青眼の白龍が場にあるのなら、「攻撃力3000以上のモンスター」だったり、「相手モンスターを破壊するカード」だったりを用意する必要が出てくる。何一つ妨害効果が無くても、相手はそれを処理するために行動を制限されていく。  
 もちろん現代遊戯王においてこの例は、適当にカードをブンブン回していれば突破できるはずなので大した制限にはなっていない。先行で《森のメルフィーズ》《リヴァーストーム》《ベアトリーチェ》出してターンを返して準備をしたいようなデュエリストは別だが……。(ぐさ)

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 こんなカードもある。《キービートル》は対象のカードを効果破壊から守り、対象のカードを身代わりにできる。

 では、このカードを出されたら貴方はどのような一手を繰り出すだろうか。ちょっと考えてみてほしい。

 

《キービートル》を倒すなら、2度にわたる破壊をしても良いだろうし、破壊以外の処理(除外やバウンス)でも良いだろうし。
 何か思い浮かべたら、例え話を読み進めて欲しい。

 

……

 

 相手はこのカードをX召喚し、伏せた魔法罠ゾーンのカードを対象に取る。さてどんな一手を打とうかなとこちらのドローフェイズを迎えた時、相手からとんでもないカードの発動を宣言される。

 

 

 

 

 相手「あ、ドローフェイズいいですか? 対象取ってた《虚無》打ちますね」

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今考えてた対策が通用しなくなった人挙手ノ

 

 

 

 

 

 貴方「虚無!!?!?????!!!?!?」

 

【キービートル+虚無】コンボは、キービートルが発売された2013年頃の【ヴェルズ】デッキが取ったりしていた戦術のひとつだったと記憶している。
《虚無空間》は自分の墓地に何らかのカードが落ちてしまうと自壊する効果があるが、効果による破壊なので《キービートル》によって守ることができる、というコンボだ。闇でランク4組みやすいし。
(どうやら当時は《虚無》3枚フル投入できたらしいガチィ?)

 

 

 これに対してこちらも返し手を用意して対応する訳だが、これらを突破するために必要なカードは非常に限定的である。

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 理想の解答札を挙げるとすると、《エルドリッチ》の手札からの効果で《キービートル》を墓地送りにしたり、《禁じられた一滴》で効果を止めつつ打点を下げて戦闘破壊を狙ったり、といった感じだろうか。
 しかし、これらの限定的なカードが手札に無い、そもそもデッキに入っていないのなら、盤面に何も触れずにターンをパスせざるを得ない。そんな光景も想像に容易い。

 

 上記の《エルド》《一滴》のように1枚解答のカードが無いのなら、2枚のカードを使って突破を試みることになるが、下手な組み合わせだと何もさせて貰えない、それこそパスしかやる事がない状況に陥ることがある。

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《トロイメア・ユニコーンは《虚無》によって使用を封じられているため、これ1枚では《キービートル》を突破できない。《サイクロン》などの魔法罠を破壊するカードがあったとしても、《キービートル》が邪魔で単体では役に立たない。
《キービートル》には《ユニコーン》で、《虚無》には《サイクロン》でそれぞれ対応できてはいるのだが、【キービートル+虚無】のコンボの前には、2枚ともが紙くず同然の価値しかないのだ。

 

 

 デッキにユニコーン《サイクロン》を採用している貴方がいたとして、何故これらのカードを採用したのか想像してみてほしい。

「破壊耐性持ちに対応出来るように、汎用の《ユニコーン》は入れとくか……枠キツイけど」

「相手が《スキドレ》とかあるデッキだと詰むかもしれないから《サイクロン》入れとこう」

 といった感じで、自分のやりたい動きだけ考えるのではなく、様々な盤面に対応できるように、自分のカードプールやデッキのスロットを考慮しながらカードを採用しているはずだ。

 しかしそんな貴方の努力は、

「その2枚だと解決できないね、ターンエンドすれば?」

 という相手のいらんアドバイスと共に無駄に終わってしまうことになる。

 

 この「相手を詰ませる」状況を生まないように盤面を構築する、という意識遊戯王カジュアルコミュニケーションにおいて一考の余地があると思う。もちろん、相手を詰ませに行く、というプレイスタイルは悪ではない。それ自体を否定したい訳では無いことは承知しておいて欲しい。だが、

 

あーすみません、突破するカード入ってないんで、負けですね……。」

「え!ホントですか。いや、そんなつもりは無かったんです、すみません……」

「いえいえ!こちらが突破できないのが悪いので……」

 

 みたいないらん会話が起こって変な空気になるんならそうならないような構築のデッキもあってもいいのかなと思うのだ。

 

 

 さて、話を戻そう。

 今回通して問題にしていたのは、「プレイヤーがデュエルを楽しめない状況になる事がある」ということで、その原因の一つは「手詰まりで何も出来ないターンが生まれてしまうこと」であると考えた。

 これを解決するために、「完璧な盤面を意図的に避ける」という方法がある。
 言い換えるならデチューンだ。

 

 例に挙げた【キービートル+虚無】は完璧にチューンナップされたコンボである。前述の通り《ユニコーン》《サイクロン》を持っていたとしてもなんの意味も持たず、圧倒的な制圧力がある。
 そこで、この《虚無空間》《切り裂かれし闇》デチューンしてみよう。

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《キービートル》は《予想GUY》や《レスキューラビット》辺りから好きな闇属性・レベル4・通常にアクセスして作る。《切り裂かれし闇》の効果でドローができ、戦闘で無類の強さを誇るようになる。さらに《キービートル》が《切り裂かれし闇》を効果破壊から守るのでなかなか硬い。
 これも先程と同じように中々よく噛み合っているコンビだが、決定的な違いがある。それはユニコーン》単体が機能している点だ。

 対戦している貴方はこの盤面を返すために喜んで《ユニコーン》をリンク召喚するだろう。なんなら《ユニコーン》は《切り裂かれし闇》でもバウンスする事が可能なため、そのままリンク4の強力モンスターで《キービートル》ごと薙ぎ倒すこともできるかもしれない。

 この【キービートル+虚無】【キービートル+切裂闇】を比較した時、制圧力が段違いに違うのは間違いないが、この盤面を突破するためのカード枚数に差がないことに注目したい
 例えばあなたが手札に《エルドリッチ》を持っているのなら、どちらの盤面が出てきたとしても、

「あ、すんませんエルド効果で^^」

 で終了な訳だ。相手が突破カードをもっていて、結局盤面が壊されるのなら、別に完璧なまでに作らなくともいいのではないか。

 なんなら勝手に墓地に行くぶんだけ《虚無》の方が耐性がないとも言えてしまう。
 詭弁か?

 

 

 このように、現代遊戯王では「圧倒的に固い盤面を用意する」ことも、「それを乗り越えるカードをたくさん用意する」こともどちらもできてしまう。だが後者の対策カードの用意はフリー対戦のサイドデッキなしでは完璧にすることは難しい。だからこそ、盤面を用意するデッキにはデチューンが必要だと感じる訳だ。
 待ち受ける側の盤面を「あえて完璧にしない」という選択は、相手プレイヤーを封殺してしまう機会を減らし、カードを切らせる方向に働く。お互いがカードを切り合い、手に汗握る勝負をする為の鍵、の一つとなるのではないだろうか。

 

 しかし今回の記事では語っていない、本問題の解決方法がある。
 それは、「盤面を用意する側がデチューンする」のではなく、「突破する側が超絶突破力をもって挑む」という方法だ。

 事実さっきの【キービートル+虚無】は、《一滴》という大流行超汎用回避不能最強カードで解決できてしまうのだから、みんな等しく《一滴》。それでも詰んでしまうという状況は回避できるだろう。

 だが、果たしてそれは解決と言っていいのだろうか?

 手詰まりが起きる状態を丸ごと解決できる《一滴》ようなカードの汎用性の高さは凄まじいのは当然で、これらのカードは「詰んでいるわけではないけれど、有効に使えてしまう状況なので使う」状況を作りがちだ。
 元々作りたかった盤面に遥かに汎用性の高いカードのを一枚添えると、「添えたパワーカードが目立つだけの状況になりかねない」という、デッキビルダー特有の悩みが出てきてしまう。
 お互いのデッキがやりたいことのはるか上空で、無効札と解決札の応酬をするくらいなら「盤面を用意する側がデチューンする」という選択肢も悪くないのではないだろうか。

 

 

 

    デッキを組んでいる時、いつもデュエルしてくれるアイツらとまた遊びたいなー、くらいの気持ちは皆が持ち合わせていると思うがどうだろうか?

    もし同じような気持ちを持ち合わせているのにも関わらず、「相手よりも強いデッキを組んでしまう」「やりたいことをやるまえに勝っちゃう」とため息を漏らすデュエリストが居たのなら、一つの参考にしていただけると助かる。

 

 

ではまた。